信じられません。
あの人のことは、今も良く覚えています。
もう30年以上も前のこと、
あの頃はサラリーマンでした。
サラリーマンにとって、
同期の人(同じ年に入社した人たち)は特別な存在でした。
何も利害関係もなく、好みも性格も違う人同志、
同じ年に同じ会社に、たまたま入った人たち、
そんな人たちだからこそ、偶然に共有した時間が心に刻まれて、
いつまでも残っているのかも知れません。
特にあの人とは、私が学生あがりの、今思えば「使いにくい」新米の頃から、
自分なりの仕事、居場所を確立するまでの時期、
職場での議論や、飲み会でのバカ話をともにしたのでした。
その後、彼女は転勤になり、やがて結婚され、
私は転職して、年賀状だけの付き合いとなりました。
同期の人は、時折私たちの農園を訪ねてくれます。
わざわざ北海道の田舎に、時間とお金を使って立ち寄ってくれるのです。
そして話をするうちに、立場の違いも、経過した年数も、寄る年波も、
すべて忘れたかのように楽しいひと時を過ごせます。
話は逸れますが、私は新たな挑戦のために転職してそれまで住んだ土地を離れ、
様々な意味での持続性に疑問を持ち、農家となり北海道に移住しました。
その後、農園を訪れてくれる人も多くあり、
就農前よりも以前の知人との交流が増えました。
もしもあの人が訪ねてきたら、
きっと同じように過去がよみがえる瞬間があったのだと思います。
今日、あの人のご家族から、喪中の葉書を受け取りました。
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