Kii's Open Field

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2014年5月4日日曜日

花摘み → 開葯

さくらんぼは私たちが育てる果物の中でも、授粉しにくい(実が成りにくい)樹種です。
授粉を助けるために、遺伝子的に授粉の相性が良い品種を栽培したり、花粉を運んでくれるマメコバチを飼育したり、めしべが傷みにくいように防風ネットを掛けたり、といくつもの対策を行います。
中でも成りにくい品種や、樹によって成りにくいものもあります。そんな樹に少しでも結実してもらうため、人工授粉を行います。人工授粉は、自園の花を摘み、そこから取り出した花粉を、成らせたい樹の花につける作業です。
この人工授粉にもいろいろな方法があります。毛羽たきのようなもので花粉を運ぶという方法が、最も簡単で意外と成功率は低くないそうです。私たちは、佐藤錦や南陽という品種の結実を促進するために、水門という品種の花を採取します。その花をフルイにかけて花粉が入っている葯(やく)という黄色い粒状の部分だけを取り出し、その後、低温で乾燥、さらに粉砕・精製した花粉を使います。花粉をつけたかどうかがわかりやすいように、石松子という紅い粉末を混合します。
天候の良い日に、1日掛けて花を摘み、フルイにかけると、本当にわずかな花粉が手元に残ります。昨日と本日、合計で310gの花粉を取ることができました。明日も続ける予定です。
なお、使用するフルイの装置、乾燥機などは、地元のJAが所有しており、誰でも利用することができます。
なかなか手間が掛かるのですが、よく考えられたシステムだと思います。
農家になる5年前には、こんな作業があるなんて、まったく知りませんでした。

脚立に登って花を摘みます

すっかり開いた水門の花、こんなにきれいに咲いた花は使いません。
開ききった花の雄しべは、既に葯が開いてしまっているためです。

実際に使うのは、このようにつぼみが膨らんだ程度のものです。




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2014年5月2日金曜日

北海道の果樹園にも春が

いつになく早く訪れたように感じる今年の春。
畑に1本だけの梅の樹が開花したのが4月30日。
さくらんぼの花はまだ蕾ですが、小さいその蕾の先端に、花びらの白い色が見え始めました。この白い部分がだんだんに風船状に大きくなり、その翌日くらいに開花します。
春の訪れが早いと感じるのは、昨年があまりに遅かったからでしょうか。
今年は平年より2日ほど進んでいるだけだそうですが。

4月の北海道における日照時間は、観測史上で最高レベルだったとか。
この話を聞いて思うことは「こんな年は初めてだ」、ということを毎年聞くということです。それほどに気候が変動しているのでしょうか。なんだか気象の変化が穏やかではなくなっているように感じます。

春の堆肥散布を行ったのは3日前、そしてあまりに雨が少ないので、5年目で初めて春にスプリンクラーが活躍、畑全体を昨日灌水し終えました。

「今年はさくらんぼの美味しい年になるぞ」と言われたのは、さくらんぼ栽培の先生でもある先輩農家さん。
この言葉を信じたい。

青い空に梅の花

顔を見せ始めたさくらんぼ(水門)の花


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